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「ジュエリー製作の仕上げについて、何となく磨くというのはわかるけど
どうやってやるんだろう?」
「ジュエリーの仕上げについて、いまいち自信がない」
といった方に向けて、
現場の実際や機微をお伝えしていきます。
なるべく僕の仕上げのすべてを置いていきます。
これを見て実践していければ、仕上げに自信をもって大丈夫ですよ!
色々なやり方があるので一概には言えないのですが、少なくとも僕はこれで日々戦っております🐒
本記事の内容
●1.磨くやつに何を使うか?と磨き方
●2.研磨剤に何を使うか?
●3.何を考えて磨くか?と注意点
に沿ってお伝えしていきます。
かなり膨大で疲れちゃうと思うので、日を分けて見てみてください。
便利な様に1記事にまとめてみました。
画像の便宜上で販売リンクが貼ってありますが、
シーフォースさんだったらリンクからではなく直接買った方がポイント貯まると思います!
はじめに・仕上げの流れ
ジュエリーを綺麗に磨く工程の仕上げは
仕上げをする、バフをかけるってよく言います。
バフとは磨くのに使う布って感じですね!
簡単な流れ
▲簡単にまとめると、この工程を色々工夫していくことになります。
【荒い→細かい】で磨ける
すごーく当たり前かもですが、この【荒い→細かい】の流れが基本の根底となります。
仕上げで色んな工程や、マニアックな加工を途中ですることもありますが、
この流れを見失わなければ必ずゴールに到達します。
2.研磨剤に何を使うか?
3.何を考えて磨く?と注意点
高い機械じゃなくても平気
要は回転体だったら磨ける!です。
高いバフ研磨機や、一流ブランドで使ってる良い機械とか色々使ってみましたが、
結論として、バフが回ってれば何とかなるです。
持ってるのが安いやつだからなーって方も、ある程度安心してください。
安いバフ研磨機やリューターは、トルクが無かったり作業性が悪い場合がありますが、何とかなります。
なので高速回転神話みたいなのが、あるところにはあるのですが低速回転でも大丈夫です。
ガッツリ導入じゃなくて軽い感じでやりたい方
ガッツリとなると色々お金がかかっちゃうので、
リューターで豆バフなどを駆使して仕上げることができます!
リューターでの仕上げは後述いたします。
さてっ、その前に準備
身の回り
●マスクする
●目を守るゴーグル(コンタクトの人で長時間バフをやる場合は特に)
●髪が長い方は、縛って絶対巻き込まないように
昔ながらの体育会系な会社で育ったので、
長年、マスクやゴーグルなんぞやらねぇよって感じでやってきたのですが、僕はやることをオススメします。
独立してからはやっています。
マスクしないと鼻の中まで真っ黒になりますし、毎日大変ですもんね。
あと動力ってホント怖くて、
具体的には言いませんが、髪が長い方は結んで巻き込まれないようにしましょう。
上記の対策ですが、まぁめんどい場合はやらなくても良いと思うし、
とにかくケガしない感じでお願いします!
バフ本体
予算などもあると思うので予算に合ったものをチョイスしてみてください。
バフ研磨機自体はお好みの机に、机にネジで固定して(振動がすごいので)取り付ける感じになります。
机の高さはごく標準でオーケーで、高さ70㎝くらいとか体の大きさに合わせるとよいです。
▲図のように手で止められるスペースがあるのがオススメです。
しょっちゅう磨き部分を取り換えるやり方が便利です。
もともと芯の所がスペースのあるバフか、アタッチメントで伸ばしたりして確保してみてください。
手で止めるというのは、電源切ると惰性で回ってる時間がダルいので手で止めます。
壊れない⁉大丈夫⁉って思うかもしれませんが、直流のバフや交流のバフとかでずっとやってましたが壊れませんでしたし、伝統です。笑
師匠達は電源切らないで力で止めてたり。
集塵機
▲こんなんがあればベストですが、掃除機で対応しちゃうのもありです!
掃除機を使う場合はバフ専用にするのがオススメです、結構真っ黒になります。
バフのお供にリューター
▲大きなバフの機械だけではなくて、こういったリューターも適宜使って磨いていきます。
▲こういったタイプのリューターも内径を仕上げる時などに強力で、ハードな運用ができます。
1.磨くやつに何を使うか
その前に、面を作るということ
あとで詳しく後述しますが、
仕上げはただピカピカに磨くというのではなく、【つながった面】【面の切り替えがない美しい面】に仕上げていきます。
なので、面を構築していく道具が
●PVA
●板バフ
●フェルト
●内径棒
となります。
【PVA】
特徴
■詳細:
PVA砥石は、スポンジ状の弾性砥石です。弾性効果により、研磨面に特に深い疵(きず)をつけることなく、均一な仕上面が得られます。
研削熱の発生が少なく、目詰まりを起こすことなく安定した長時間の連続研磨が可能です。
曲面にもよくなじみ、ペーパーや鉄バフよりはるかに良好な仕上面が得られます。
優れた仕上げ面(鏡面仕上まで)を得たい時、また、加工時間を短縮し、工程数を削減したい時に性能を発揮します。用途:
発熱・目詰まりを生じやすい軟質難削材の研磨に最適です。
ステンレス・アルミ・銅・真鍮・チタン・その他合金
木材・ガラス・石材・合成樹脂などの素材出展:https://www.tools-shop.net/shopdetail/000000027869/
プラスチックで固めてあるから柔らかいんだけど、バシッとした面を出せます。
理屈としては地金表面の結晶状態の話で、「通常の紙ヤスリだと面を痛め硬化させます。
大きな面を仕上げるとしたら紙ヤスリは向かない」ということ。
つまり柔らかい状態で移行でき、早く・優秀な結晶状態で仕上げられるってことです。
っが!適正な流れとしてはそうなのですが、正直そんな気にしなくて良いです。笑
僕が感じてる一番のメリットは動力でヤスリがけしてるイメージです、楽!
場合によるのですが、PVAの方が面を出すのが早い場合があります。
PVA 概要
●PVAは研磨剤を使いません
●スピードはなるべく遅め500~2000RPMくらい
●基本的にPVAの横の面を使います
やっかいなので道具屋さんに横のシールを張らないでもらって注文してみてください。(大量注文だからできたのか、ちょっとわからないのですが)
●PVAをかけたあと品物の洗浄必須
●使っていって平らじゃなくなったら、もう一枚PVAを用意して、2枚を回すように擦り合わせて平らを出します
又は、ダイヤモンドヤスリを使っておろします
PVAの使い方
フェルトと同様なので下記フェルトの欄を見てみてください。
PVAが目詰まりした場合
▲どうしても、PVAが目詰まりして切れないなって思ったら、
こういったフェルトの平らな面を押し当てて目を復活させてください。
上の図で言うと右の方の平らなとこです。
これはちょうど良いサイズで実に持ちやすいのです。
PVAデメリット
ざくざくヤスリのように削れるので地金がかなりバフ粉に紛れ込みます!
なのでバフ粉の分析(地金を抽出する業者に出す)でこんなにでるの!?ってなります。
ジュエリー作りにおいてなるべくヘリ(どっかに行っちゃう地金)がない方が良いです。
なので、量産で大量にさばかなきゃいけない人以外は、普通にヤスリがけで地金粉として回収した方が回収率が良いです。
地金分析について、
足立区の佐藤金銀店さんがいろんなところにお願いした中で、すべての面で一番信頼できる会社さんです(量がまとまらないと迷惑かもしれなのでプロ向けかも)。
●指が当たるとガッツリ肉が持ってかれるのでケガに注意です、治りにくい傷です
眠い時はPVAやっちゃだめ。
●PVA使用後、PVAが散った場合は適宜掃除してください
PVAの粉が他のバフにつかない様、かなり注意してください
PVA 使う番手
#80・#120・#220・#400を使い、良く使うのは#120・#220となります。
#120で次の工程のフェルトに行っちゃう時もありますが#220くらいがオススメです!
【サイザルバフ】
使いどころは適宜考えないといけませんが、
キャスト上がりの鋳肌の状態でも・がっつり飛ばす時に、白粉を付けてバリバリ磨く方法で使えます。
生地仕上げ(途中の段階まで)の外注さんに頼んでいた時、
やたら早く納品していただけるのに綺麗だったので聞いてみたら、サイザルバフをガッツり使ってました。
場合によっては細工の工程をすっ飛ばすイメージでも使えます!
●だいたい2000~5000RPMくらい
サイザルバフ デメリット
抜けた毛が高速回転でぶつかってきやがります。
結構、痛いです。
【フェルト】
■詳細:表面の磨きから面出しまで幅広く使えるフェルトバフ。
各種サイズから硬さをラインナップ。
日本製の高級素材を使用した良質フェルトシリーズ。HHと、HHHは樹脂入です。【柔らかい】A→M→H→HH→HHH【硬い】
出展:シーフォース
フェルトは面を出す・面を出しつつ磨くのに便利です。
フェルトは研磨剤が染み込んでいき、使い込んでいくと硬くなってきます。
なのでMのミディアムくらい使っていって、硬めのフェルトに育てていきましょう。
あと、硬すぎるとフェルトを加工しにくいってのもありますね。
Aも柔らかいニュアンスで使いたい時便利ですが、メインはMのミディアムを使います。
フェルトもPVA同様、主に側面を使っていく感じになりますが、正面側もお好みの形状にして使う場面がたまにあります。
フェルト使用時について
●硬いフェルトは面を出す時、できればスピードをトロットロに遅くして面を出していきます。
早いと研磨剤が溶けすぎて、面にスジが入りやすくなります。
500~2500RPMくらいですかね。
●フェルトの一部分に当てるのではなく全体でかけた方が早いです。
フェルトの側面全体を直径とするなら半径部分のところってイメージです。
●プラチナの場合 硬めのフェルト(白粉) → 洗浄 → 柔らかいフェルト(青粉)
というのが正規な流れですが、場合によって硬めのフェルトからバフに移行しちゃっても大丈夫です。
ゴールド・ホワイトゴールド・シルバーは硬めのフェルトからバフに移行でオーケーです。
ホワイトゴールドでパラジウム感が強い、粘りがある柔らかさを感じたらプラチナの磨き方でいってください。
フェルト使い方1 リング表面
人の習性上!?リングは上記の部分が山になりやすいので山を削りながら磨くイメージです。
しっかり支えて回転方向にブレないように、下で支えてる親指が結構大事になってきます。
面を繋げて磨くため、
リングを回しながら、必然的に矢印の方向に動かして磨いていきます。
まさに職人技!?的な感じです。笑
▲一か所づつ当てていくと平・平・平という感じになっちゃうので、
面をつなげるように磨いていきます。
細工の段階のヤスリがけも共通しており、幅の方向にかけていくと山になりやすいのを防ぎながら平らを出しやすいです。
師匠の実家が機械工場だったらしく、理にかなっているそうです。
どちらかと言うと山になりやすい磨き方になりますが、気を付けて磨けばこちらでもオーケーです。
このデメリットも把握しておき、適宜使い分けてみてください。
こっちの方が楽ちんです。
フェルト使い方2 平らな面
まっ平らを面出す時に使うフェルト
真っ平らなフェルトもあると便利ですが、このように少~しアールを付けてあるやつも便利です。
理論上、真っ平らが良いのですが、なんか使いやすいのです。
かけはじめと終わりで品物を飛ばしにくい印象です。
品物の真っ平ら具合について
▲品物の平ら具合の方針によるのですが、場面が広いものを正直に真っ平らを出していると時間がかかりすぎる時があります。
あとスの対応(後述します)をしながらだと、薄くなりすぎる確率が上がってしまうことも。
ざっくり平らが出たら、少し外落ちをイメージして平らを出していくと時間の節約になります。
この外落ち具合は適宜調整してみてください。
フェルト使い方3 リング側面
最終的に角をダラす場合でも、まず最初に平らを出します。
キチンと基準を作りつつ成形しないと、どんどん寸法が狂ってきてしまいます。
リングのサイドが真っ平・高級感を醸成する場合、
平らを出した後に、0.1~0.2mmくらい外落ちを意識してフェルトなどで落としていきます。
これも面を繋げながら、リングを回しながら落としていきます。
このあとにバフをかけていけば良い感じになります!
▼他用途の動画なので一瞬になっちゃいましたが、動画だとこのような感じ(開始位置5:46)もっとゆっくりかけるイメージです。汗
こちらは小さい平らなフェルトで、平らを出しつつ外落ちを同時にやってる感じです。
角について
体に触れる部分は角が立っていると痛いです。
なのであたりを柔らかくするために丸めるのですが、細工の段階では角をぴんぴんにしておきます。
角を丸めるニュアンスがある場合、通常はバフがけでやったほうが綺麗にいきます。
量産品で数が多い場合など、細工でやっておいた方が良いなって場合は
お好みで細工の段階でやっておくのも良いです。
フェルト使い方4 アール(半弧)の面
▲ダイヤモンドヤスリやメッシュ型の紙やすりで形を整えます。
加工の際、ダイヤモンドヤスリの目が吹っ飛ぶ可能性があります。
すごく厚めのフェルトを買って金ノコで何等分かにして作ったりもしました(金鋸切れなくなっちゃいますが)。
バフ研磨機にセットして切ると、危ないかもだけど楽に綺麗に切れます。
ダイヤモンドヤスリについて▼
T こんにちは! ジュエリー職人のT(@Creator_Tweet)です。プロフィールはこちら 今回はあると便利、ある意味最強のやすりのダイヤモンドやすりについてです。 「色々な種類があるけどアクセサリー作りに適したものは?」「ダイヤ[…]
メッシュ型の紙やすりはこんなの▼
曲面をつくる
▲このような感じにアールのある所に当てて面を作っていきます。
一か所を当てていくのではなく面を繋げていくのを意識して動かしながら当てていきます。
板バフ
▲この板バフは平らを出すのに使います。
すんげぇ仕上げがうまい人が使ってたりしますが
●手がきまって(ブレずに最適角度を割り出せる人)ないと難しいです
●板がブレてるとはじかれます
●生産が中止になってきてる
点が注意点ですね。
●フェルトと同じ感覚で500~2500RPMくらい
フェルトでも似ているので、お好みで板バフは使う感じになります。
僕はフェルトが好きです。
内径用
▲こういった内径用のフェルトもよいですし、
▲これは特注のいただきものなのですが、こういった木のやつに紙を巻いてやるのも良いです。
●白粉を塗って使っていき、紙が破れやすいので適宜交換
●フェルトと同じ感覚で500~2500RPMくらい
現代の指輪の内径事情的に、平らな面が必要なのでバシッと出すイメージです。
内径事情についてこちらに書いてあります▼
こんにちは! ジュエリー職人のクリエイターT(@Creator_Tweet)です。プロフィールはこちら 「リング(指輪)を作りたいけど、どういった寸法で作ったら良いかな?」「今のトレンドやどんなことを考えて作れば良いかな?」とい[…]
量産やる時はよしやるぞ!って感じで特に使いますが、リューターのフェルトも便利です。
下図のようなヤスリの柄を使って作ることができます▼
▲ちょうど鉄の部分が軸に噛むのでしっかりホールドします。
そして、ろくろ職人のように刃鏨(はたがね)や、なんか削れそうなもので削っていきます。
●木の磨く部分の直径はφ1cmで長さは6.5cm
●B5くらいの紙を幅6.5cmくらい切って巻き付けると良い感じ、輪ゴムでとめます
内径の角を磨く時は丸くなるように動かしながら磨いていきます。
▼このような感じ(開始位置5:40)
バフ 中間仕上げ
▲キナリのトジバフがベストなんですけど、最近キナリの種類が減っている気が…。
ベストなバフなので応援よろしくお願いします🐒!
イメージでいくと、生地の腰があるほど硬いほど攻撃力があります。
▲ピンクのバフも使ってみまして、キナリに近くて良い感じです。
バフは使い分ける
中間仕上げ用と最終仕上げ用のバフは分けた方が良いです。
ほんとにほんとの最終仕上げ用などは、神経質に分けて保管するくらいでも良いと思います。
バフのかけ方
▲手前から奥方向に向けて、品物を当てて動かします。
●だいたい2000~5000RPMくらいで、毛足を遠心力で硬く揃えたいイメージで使いたい場合は速めが良いと思います。
▼ちなみに磨いているところは、このような感じ
▲甲丸状のリングの側面を仕上げるのに、この側面を利用していきます。
こちらはトジバフなのですが、注文の段階で普通は閉じてあるところ(縫ってあるところ)を間引いてもらったものです。
いちいちバフを外さないで便利、なじみの良いフェルトみたいなニュアンスで使えます。
縫い目の所が少しデコボコしちゃいますが、普通のトジバフでも糸を外しちゃえばいけます。
前はツールプラザさんでやってもらってたのですが、今はやってるのかな!?という感じです。
ちなみにツールプラザさん▼
http://toolplaza.shop-pro.jp/
各々の地金の被膜をとる
鋳造品など火が入るとどうしても被膜が出る場合あります。
プラチナはフェルトをかけるなど、面をいじるとすぐ白い被膜がかぶったりします。
▲強く押し当ててハードに磨ける場合もありますが、研磨剤の層を当てて切っていく方が効果的な場合もあります。
バフの内側の研磨剤があんまりついてないところに当てるのではなく、研磨剤の層をぶつける感じ。
布に強く押し当て過ぎないイメージです。
各々の地金の被膜をとる際に、研磨剤の層で切ってくイメージでやると良く取れます。
歯ブラシで強く当て過ぎると、かえって磨けないイメージに似てるかも。
シルバーの赤い被膜どうする?
シルバー製品は検品の厳しさによりますが、赤い被膜オッケーって会社も見受けられます。
気合でとる場合以外、対処法として
●最後、シルバーでメッキをする
●バレル上がり or バレル上がり+軽仕上げ でわかりにくくする、ごまかす
●電解研磨をして表面を一枚剥く(電解洗浄じゃなくて、劇薬やら装置を使うので特殊な感じ)
バフ 最終仕上げ
▲こちらのSキャラコのトジバフなど、柔らかくて毛足がふわっふわのバフを使います。
●だいたい1000~3500RPMくらいで、毛足がやわらかいイメージで使います
バフを最初に使う時
▲こういうのでふぁさぁーっと柔らかい感じにしてから使います。
こういうのがなくても、金剛砂とかをあててもほぐれます。
2.研磨剤に何を使う?
荒磨き 白粉
▲白粉は粗めの研磨剤でかなり使います。
中間仕上げ 青粉
▲お店の紹介ではプラチナ・銀の最終仕上げとありますが、プラチナ・ゴールド系・シルバーでの中間仕上げで使っています。
バフの素材との組み合わせや、バフ上で白粉と混ざる点などがあるので、
それについては後述します。
最終仕上げ
▲今回伝えたかった事の一つ、ピカ素です!
プラチナ・ゴールド系・シルバー共に使えます。
これの良い所は【粒子が細かいのに良く切れる】です。
通常、粒子が細かくなると削れないのですが、こちらは守備範囲が広いイメージ、
しかも最終仕上げまで持ってけるじゃん。
場合によっては、白粉→ピカ素でもいけちゃう場合があるのです。
これを作った人は天才だと思います。
●最終仕上げの場合、研磨剤はあまり付け過ぎない様にします
研磨剤の付け具合について
磨いていくと黒くなった研磨剤が品物に付いてしまうのですが、磨き上がった状態でなるべく付いてない様にします。
洗浄したら黒かった箇所のツヤが曇ってたりします。
磨きながらバフに回収させるのですが、
不思議なもので研磨剤を付け過ぎても付けなさ過ぎても、うまくバフが研磨材を回収してくれません。
なので経験値になってしまうのですが、適宜つけていけば大丈夫って感じです。
白粉の段階では気にしなくて良いですが、最終仕上げの段階で黒い研磨剤がないようにしてみてください。
なので最終仕上げ前、青粉の段階などでいったん洗浄しておくとスムーズです。
3.磨き方・何を考えて磨く?
バフの入らないところからやる
入り組んだところ、バチカンの中や物理的にバフが入らなそうな所は、先にヘラを入れておきます。
場合によってはヘラ仕上げで終わらす箇所も出てくると思います(ヘラについては詳しく後述します)。
ヘラ仕上げ
●ヘラ自体を良く磨いておきます
●水を付けながらやるとスムーズです
●かなり軽くかけることでヘラ目を出さないでツヤを出せます
内から外に
仕上げは内から外に向けてやっていきます。
例えばリングだったら
1.荒 リングの内径→外側(白粉)
2.中 リングの内径→外側(青粉)このタイミングで洗浄
3.細 リングの内径→外側(ピカ素)
外側が手でホールドする場面や磨きながら傷つく場合が多いので、傷を防ぎながらやる意味もあります。
「ス」について
鋳巣(いす)とは鋳造(キャスト)時などにできる、小さい穴ってイメージです。
「ス」と呼ぶことが多いです。
検品の大きな項目の中にスがあるかが必ずあるので、高額品であるほどスと戦うことになります。
プロを目指している学生さんは、スと戦う世界へようこそです。笑
スの対処法
対処法はいくつかあると思いますが、
基本は地金の肉を寄せて埋めてく方法と、地金を加えて埋める方法があります。
ヘラがけ
▲こんなにキチっとやる必要ないですが、
なるべく360°から肉を寄せて埋めていくのが理想的と思っててください。
実際は一方方向だけでやることも多いです。笑
●肉を寄せると言ってもスの手前で止めるんじゃなくて通過させていくイメージです
●手が震えるほど力を入れなくてよいですが、力を出来るだけいれます
●ヘラ目はフェルト+白粉で消します。
なので最終仕上げの段階でスが出てきたら、部分的に前の白粉の段階にもどります。
チッってなります。
後述しますが、
・まっすぐなタイプのヘラは一方方向が得意
・曲がってるタイプのヘラは360°が得意です
ロータリーバー巣埋め用
▲色んな用途で使えるロータリーバーが死ぬほど使えます。
リューターで使うやつです。
肉を寄せる・地金を締めるという使い方です、かけるときの意識としてはヘラと一緒となります。
▲僕が使っているタイプはもうないのかな!? 近いものとしてはこちら。
上の部分の角を落とした方が傷つかなくて良いんじゃないかなって思います。
リューターにかましてダイヤモンドヤスリで削り、ダイヤモンドペーストで磨く感じですね(後述の「ヘラの調整」を参照してください)。
●ロータリーバーやった後
カット面数によると思いますが結構面が荒れるので、やった後はペーパーorゴム(シリコンポイント)をかけることになると思います。
面を叩くのでハードにかけると地金が締まって良いのでは!?と思っています。
PVAのときの結晶状態の話は繊細すぎる話で無視です。笑
最近では細工時、粗目ヤスリのヤスリ目を傷とみなし、
ロータリーバーかけてペーパーかけるってのをよくやります。
修理品の新品仕上げなど、極力削りたくない場合は積極的にロータリーバーを使っていきます。
▲細いタイプもすごく便利なので、お好みのをみつけてみてください。
▲こういうのは、くぼみが大きいほど攻撃力が高いのでハードにかけたい方は
オーダーか自分で作ってみるのもありです!
ざっくり「ス」の種類と対策
厳密には色々あるのでしょうが、僕が実際によく見てきたスのイメージ図を作ってみました。
よくあるやつ
▲この手のスは、湯口が付いてた辺りの発生率が高い気もしますが、全体的にいます。
湯口とは!?な方はこんなイメージです▼
こんにちは! クリエイターT(@Creator_Tweet)です。プロフィールはこちら アクセサリー・ジュエリーのデータ作成時の時点で湯口まで付けておく方が、後々の作業性の向上やスピードの点において有利になります。 長年の経験[…]
●小サイズはよくあります
このくらいだとヘラでなんとかなるサイズです
●中サイズはヘラ、ロータリーバーでなんとかなるなってサイズです
●大サイズはロータリーバーでなんとかなればよいのですが、図よりも大きい場合は
・昔ながらの方法として地金をカシメる
・レーザー溶接機で地金を盛る
となります。
ごまス
▲最近はキャスト屋さんがハイレベルなので発生率が下がってきている気がします。
小さい穴が集まっている感じのごまスです。
ちゃんと潰してるのに出てきたり結構やっかいな印象があります。
雨の日の霧雨的なイメージで、平気だと思ったら意外と濡れてダメージ受ける感じ。
意外と目立つスでやっかい、メッキ染み(メッキが部分的に不良になる)を目立たせる立役者ですね。
内包物系
▲地金がしっかり混ざりきらないで塊が残ってるやつです。
いくら潰してもキリがなく、面がでない!ってなるので、
削りとっちゃった方が早いと思います。
最近はめっきり見なくて、海外の地金でホワイトゴールドのパラジウム割に多い印象。
え!!っていうス
▲プラチナや純金など柔らかい地金で起こるのですが、僕が会社入ってから一番びっくりしたスです。
ってかスじゃないんです、ペーパーの粒子が食い込んでるのです。
最初はそんなことあるかい!って思ったのですが、
本当で、すごくビックリしたのを覚えています。
この現象が起こるので、ペーパーの代わりにPVAであったり、ベルトサンダーの紙やすり(粒子がはがれにくい)を使う場面があったりします。
なのでこちらのス!?は丹念にバフかけてると飛びます。
ヘラで潰していても無限ループになっちゃいます。
本当にごまスにそっくりなので、ん?って思ったらよーく見てみてください。
出っ張ってたらこちらになります。
え!!っていうス2
ちょっと図が無いのですが、ハードにバフをかけて現れるときがある面がただれた様な感じになる時があります。
ホワイトゴールドのパラジウム割などでたまに見かけるたりしますが、
革系ので磨くと何故か綺麗になります。
スポンジ状
▲こんな感じでガッスガスな感じ、鋳造(キャスト)失敗ってパターンです。
入り組んでいる原型や薄すぎる場所があると、
キャスト時に石膏が巻き込まれたり、悪さをしてなったりします。
こういった場合はキャストのやり直しがオススメですね。
実物の感じ、この記事の下の方▼
ジュエリー職人のクリエイターT(@Creator_Tweet)です。プロフィールはこちら DMM.makeさんでキャスタブルレジンの素材の取り扱いが始まりましたね! 「DMM.makeさんのキャスタブルレジンを鋳造するとどうなるのだろう?」[…]
大きいスはレーザー溶接機で埋める
レーザー溶接機があると何事もなかったかのように埋められるので最高です!
読んで字のごとしレーザービームで溶かす機械です。
けどレーザー溶接機は何百万とするので高い。
会社員時代、10年近く使ってましたが今は逆に持ってないです(退化)。
死ぬほど便利なので、お金持ちの方は必ず買いましょう。笑
銀とか純金でレーザーがはじいちゃう時は黒マジック塗るとか、レーザーも色々ありますね。
大きいスはカシメて埋める
▲上記の様な流れで、同じ地金を埋め込んでいくイメージです
1.スがあったら袋状に削って、かしめた地金が出ない構造にします
2.良い感じの地金をセット
3.かしめ用の金づちや鏨(たがね)で叩いてかしめます
4.削り取って完成
ヘラについて
ヘラはどんなの使う?
▲売ってるのでオススメはこの辺。
▲最近、使ってるメインの物として自分で作ったやつが多いですね。
曲がっているタイプの薙刀(なぎなた)系ヘラはめちゃくちゃ便利なので作るのがオススメです。
超硬で出来てる物が便利です!
右三本の曲がったタイプの薙刀系について、
・360°の肉寄せに向いてる
・細いのは普通のヘラでは入らないところに入り、リングの裏側や丸い面などに便利!クオリティアップにどうぞ
●超硬のヘラ部分、ロッド材
・細いの 太さφ1.5mm
・太いの 太さφ3.0mm
・薙刀系の細 太さφ2.0mm
・薙刀系の平ら 縦3cm×横6mmの板状・厚み3mm、厚みは先端いくにしたがって1.5mmテーパーに薄くする
●持ち手の棒材のところ
前の会社に転がってたのを使ったので、たしかステンレスの棒材です。
・細いの 太さφ4.0mm 長さ14~15cm
・太いの 太さφ6.0mm 長さ14~15cm
・薙刀系の細 太さφ5.0mm 長さ14~15cm
・薙刀系の平ら 太さφ6.0mm 長さ14~15cm
13mmくらいの深さくらいまで超硬を噛ますと安心ですね。
●超硬の加工には
・超硬が削れるグラインダーで整形していく
・ダイヤモンドやすりで整形
上記の感じで整形した後、
ダイヤモンドペーストをバフの側面に塗って、磨いていく感じ(荒#320→中間#1500くらい→仕上げ#4000とか)
画像の一番左みたくロウ付けしないで、ピンバイスにハードに噛まして使うのもありです。
上記の寸法を目安として、適当でも大丈夫と思います。
色んな角度やサイズを工夫して作ってみてください。
もっと細い用のがあったんですが、最近割っちゃいました。泣
ついでに
▲こういった超硬のキサゲを作るのも便利ですよ!
キサゲは仕上げの前工程の細工の段階で使うことが多いです。
削ずりとるニュアンスのものです。
●超硬のヘラ部分、ロッド材
・左 縦3cm×横4mm×厚み2mm
・右 太さφ2.0mm
●持ち手の棒材のところ
・左 縦13cm×横6mm×厚み3mm
・右 太さφ5.0mm 長さ14~15cm
ヘラの持ち方
▲まっすぐなタイプはこう、小指と薬指の間にはさんでいます。
最初は小指の所に力がかかって痛く感じるかもしれません。
けど慣れてくるのでご安心を。
小学生の頃にヘラがけして、
うげー、小指のとこ超痛てぇ、こんな仕事嫌だ。
って思ったのを思い出しました。笑
▲曲がってるタイプはこう。鉛筆を持つみたいな感じですね!
意外と力が入るんですよね、びっくり。
スーパーパワーヘラ
▲やはり人間の力では限界がある場合があります。
めちゃめちゃ検品の厳しい会社とやり合う時には、時間を持ってかれるので必要になってくると思います。
手よりかは、かなりスを攻められるので、
レーザーかける時間の節約的に、手のヘラとレーザーの中間のニュアンスで使えます。
ヘラのメンテナンス
▲仕上げにおいてヘラは命なのでこまめに磨きましょう!
ヘラがけ中にダイヤモンドにぶつかったなって思ったら、まずヘラが傷ついていると思ってよいです。
手順
1.手動でバフを回して、バフの側面に手でダイヤモンドペーストを馴染ませます。。
2.強くヘラを押し当てるとすぐにペーストがとれるので、馴染ませるようにしつつ磨いていきます
3.バフの反対側を細かいペースト用としておき、仕上げていきます
※ヘラの先端など尖ってるところが引っかかると一発で破けるので注意です!
あっ写真の破れてる。
やわらかいフェルトでも良いですよ!
手持ちリューターでの作業
リューターでの作業もかなり多いですし、こちらも重要になってきます。
大きいバフとかの小さいバージョンって感じ、考え方も一緒でそのまま適用できます。
バフ研磨機との併用の場合
●リングの内径
●細かい所・羽バフ・繊細な取り回しをしたい時
●大きいバフだと、飛ばしたり巻き込んだりでヤバい時
という用途がメインだと思います。
スの潰し方にもありましたが、一方方向だけじゃなくて色んな角度からかけていくと良いです。
細工段階でのヤスリやペーパーやゴムなどの、ヤスリ目を消すイメージです。
▲これめちゃめちゃ使います、通称 羽バフと呼んでいます!白粉をつける場合が多いです。
師匠が晩年になって気づいたこととして、羽バフでも面が出るなぁって言ってました。
ちなみにこの師匠はプラチナ・ギルド・インターナショナルさんで講義してたくらいプラチナ研磨のスペシャリストでした。
今回の記事は、この方に頂いた知識が存分に発揮されています!
▲キナリは青粉、キャラコはピカ素を付けてよく使います。
▲白粉をつけてよく使います!
▲こういったボール紙バフもかなり使えます。
白粉・ピカ素で使う場面が多いです。
そのへんにころがってる(アリナミンのケースとか⁉)厚紙を丸く切って作った方が安上がりです。
▼こういうので抜いて作ります。
細工の段階にちょっと戻るのに便利
仕上げしていてちょっと細工段階に戻りたいなって時に便利なのはこちら▼
▲この青緑のシリコンポイントは、仕上げが入らない所でそのまま上げちゃうのに便利。
▲ダイヤモンドドレッサーで適宜ドレスしてシリコンポイントは使います。
幅が狭いですが100均でもダイヤモンドヤスリ売ってるのでそれでもオーケーです!
綿棒が便利な件について
力はかけられないのですが、
●細かいところでの縦のベクトルにバフをかけなきゃいけない時
●バチカンの中や細かいとこなど、ちょいちょいっとやりたいとき
リューターはだいたいΦ2.35の先端工具を噛めるようになってるんですが、綿棒が結構一致しているのです。
折るor切るなどして、片方づつ使います。
いろいろ試してみましたが、
●紙軸
・パッと手で折って使えるので早い、磨いてる途中に軸に到達しちゃっても紙だから傷つきにくい
・けど、折れたらめんどい→折れたらカッターなどで隙間から引っ張り上げてとります。
●プラスチック軸
・使用中ねじ切れることがない
・セットする時きついのが多い
っていう特徴があります。
漠然と紙軸を使っております。
内容が重複していますが細いタイプなど色々あるので、それについて▼
出展:https://amzn.to/33fdSfL こんにちは、ジュエリー職人のT(@Creator_Tweet)です!プロフィールはこちら アクセサリー作りやジュエリー作りでも大活躍する綿棒ですが、 「どんな時に使うのか?」「アク[…]
爪楊枝
あんまりやらないですが、超細かいところをやるイメージでしょうか。
お好みの研磨剤を付けて磨く感じです。
がっつりは磨けません。笑
細いので太さをかさ増し、セロテープをちょっと巻いて噛まして使います。
セロテープで太さをかさ増しする場合、
セロテープの粘着がリューター内で悪さをするので、ラッカーシンナーで噛ますところを掃除する局面が出てくると思います。
面について
面
▲仕上げはただピカピカに磨くというのではなく、【つながった面】に仕上げていきます。
ダメな狂ってる面というのは
●細工段階で取り切ってないデコボコがある
平らに対して出っ張りがある所のきわにできやすい
●フェルト段階での作業で面がパン!パン!と切り替わっちゃってる
スムーズじゃない面って感じ、ちなみに面が狂ってるって言います。
1級品のジュエリーでは、面が綺麗なことは高級感を醸成するのにかなり重要であると考えています。
ただ慣れてくると、面が狂ってると気持ち悪いってなると思います!
例えるならば、楽器でチューニングが狂ってると気持ち悪いみたいな感じですね。笑
細工段階での対策
大きな面であればPVAが便利ですが、細工段階でのペーパーは面を出すのにかなり有効です。
#240・#300でハードにやって→#500くらい
ペーパーの目がつぶれてくると少し面の光沢感が出てくるので、その段階で面が出ているかがわかりやすいです。
場合によっては結構丹念にペーパーをかけないと面がでません。泣
▲木のタイプのがオススメで、全部剥き終わったら両面テープを全面に張ってペーパー付ければ復活します!
あとは小さめの精密ヤスリにペーパーを付け、細かい所の面出しに使えます。
●手順
1.ペーパーに両面テープ貼る
2.ヤスリをセット
3.沿わせながら⁉いらないハサミ(切れ味悪くなるから)で切る
食い込む問題
えっ‼ていうス2でも言ったのですが、プラチナや純金など柔らかくて粘りがある系の地金はペーパーの粒子が食い込みます。
わかってて使う分には全然普通のペーパーでもオーケーですが、そういう時はベルトサンダー用のペーパーがあると便利!
ちょっと高いのですが、ハードな押し付けに対応しているベルトサンダーのペーパーなので粒子が取れにくいです。
ベルトサンダー用の帯状のペーパーをゲットしても良いですし、ちょっとで使うなら▼
▲これも細工で大活躍ですし、少し剥いて精密ヤスリにセットして使うのも便利です。
ベストオブ面
▲これがベストな面なのですが、お伝えするか微妙でした。
なぜなら、やりすぎだからです。
でも本当に世界一の面って、スが一つないこんな感じです。
水の面みたい、なんもなくて許されない感じ。
検品ではじかれて、はじかれて
オーケーわかった、要はこんな感じねって頭に浮かんだ画像はこれでした。
このレベルだと、ルーペをしょっちゅう見て仕上げていくことになるのですが、15倍~18倍くらいないと厳しいと思います▼
倍率が上がれば上がるほどルーペが小さくなっていくので、10倍ルーペのレンズを変えて15倍!?くらいに改造したりしてます。
この感じだと、品物を素手で持った段階で傷がつくみたいな感じです。
(職人は洗浄のタイミングなどで手がカサカサになってるからかも!? 笑)
指サックするかティッシュとかで持ちながら仕上げする場合もあります。
けどカルティエやハリーウィンストン、ヴァンクリーフ&アーペル(肯定的なので伏字にはしません)とかの製品と戯れてて良く観察しますが、全部の箇所が水の面みたくなっているわけではありません。
エンゲージリングで、肩の部分の透かしなど普通にゴマスやらがあって、その判断は正しいと思いました。
ちなみに肩!?はこちら▼
こんにちは! ジュエリー職人のクリエイターT(@Creator_Tweet)です。プロフィールはこちら 「リング(指輪)を作りたいけど、どういった寸法で作ったら良いかな?」「今のトレンドやどんなことを考えて作れば良いかな?」とい[…]
ベストオブ面はこんな感じだけど、
やりすぎなので、まぁこんな感じかって思っておいてもらえればオーケーです。
検品の基準を上げすぎるとコストがかかる
お客さんと直接接客していてスが理由で購入しないとなったり、やり直しになったことは一度もありません。笑
時間をかける=コスト=お金です。
なので検品に囚われすぎてコストが無駄にかかるなら、違うところに使うべきと思います。
●商品価格を下げてお客さんに還元→ お客さん喜ぶ
●社員の給料上げる→ 社員の疲弊を防ぐ&喜ぶ
などなど色々ありますよね!
また、スを追いかけ過ぎて一番大事な全体のフォルムが崩れているなんてことが起きたり、
スは追いかけるのに石が石枠に全然合ってないじゃんなど!
【全体を見落とす】なんてことが散見しております。
品物を飛ばさないように
飛ばしたらヤバいのです
昔は、品物飛ばしたら上司からぶん殴られるくらいヤバいことだったそうです。
金槌で頭を叩かれて、殺意が沸いたって言ってました。笑
けどやはり物によっては適宜、緊張感をもってやりたいところですね。
・せっかく石に合わして枠作ったのにパー
・色石の弁償とかで工賃が飛ぶどころかマイナス
・リカットで免れてもやっぱし大変
寄せものや華奢なもの・傷
・複雑な方向に変形して戻しても歪みが直らない
・せっかく面を出したのにチャラになることも
などなど良いことは無いので気を付けたいところです。
つってもまぁ、飛ばすことはあります。笑
対策
▲このように回転体に対して角とかを真横に当てると、持ってかれるので飛ばしやすくなります。
ただ、当てなきゃいけないケースもあるので持ってかれやすいよーってのを覚えといてください。
▲バフが回っている方向に沿うように当てていくとスムーズです。
物理的にそりゃ持ってかれるよな!ってのをつかんでみてください。
最終段階ほど握った手で傷つかないようにとか、毛足が長いバフを使うので飛ばしやすくなります。
注意です。
バフ自体での飛ばしやすさ度
バフの毛足が長いほど、柔らかくなるほど飛ばしやすくなります。
品物を巻き込みたがります。
なので、仕上げのほんとに最後の最後の方で注意が必要です。
色石ものの仕上げで危機回避グッズ
超高額の石など飛ばしたくないけど予備として、板状のスポンジを飛ぶ向こう側にセットしておくのも良いです。
あと超高額の石は石留め前に仕上げちゃって、豆バフなどリューターで最終仕上げするのもよいですね。
寄せものは中間仕上げして寄せる
パーツを組み合わせて完成させる寄せものにおいて、仕上げが入らないところは仕上げをして組んでいきます。
さっきの内側から外にと一緒で、入り組んでるところは仕上げしておくイメージです。
ロウ付けして寄せた後では手が入らない場所、面が出せない場合はあらかじめ
かなり仕上げておいてから寄せます。
K18の場合、最終仕上げまでしておくとツヤが曇る確率を下げられます。
一品物と量産物の見分けるポイントで、面が出来ているところにロウ付けしているかってのがあります。
だからク○ムハーツのいぶしは、手を入れて寄せたら大変だし、鋳肌の方がいぶしも食い込むし一石二鳥でうまくやってるなぁって思いました。笑
高級品だったら、平らに面を出しところにロウ付けしていきます。
チェーンを巻き込まないように
チェーンを巻き込んでも大変、よく軸の部分に巻き付いたりします。
・シルバーは特にチェーンの全長が伸びてます
・細いチェーンは切れる場合がある
・指をケガする
チェーンはほんと気を付けてください。
珠芯がいっぱいあるトゲトゲしたチェーンを飛ばして、スーパー流血沙汰になったりします。
対策
▲こんな感じで、
・バフとかフェルトに当て布をひき、ピンと張って仕上げしていくパターン
・板など堅めの何かに巻いてピンと張りつつ仕上げていくパターン
と、お好みによって使い分けてみてください。
ピンと張りつつ、その場面が終わったら次!みたいなイメージです。
緩んでいる状態で横向きにかけると、すぐ巻き込まれます。
チェーンの仕上げ流れ
キヘイタイプのチェーンだと表裏が固定しやすいのですが、通常のチェーンだと表裏がわからなくなりやすいです。
なので
●プレートの表裏を基準にピンと張りながら引き輪まで一気に仕上げ→次に裏!ってパターン
●部分的に、ちょっと回して表裏を磨いて確実に表裏を仕上げていくパターン
と、お好みによって使い分けてみてください。
・要求されている仕上げの精度にもよりますが、チェーンだったらバレルに入れて終わり!でも良いと思います。
・フリーチェーンのアジャスター部分は特に巻き込みやすいので注意です。
仕上げの補助道具
指保護&熱除け
▲ハナキの指サックが便利で、長い場合は切ります。
僕は指が細いのですが参考までに、
親指が4
人差し指が6
を使っています。
なるべく指サックがバフにあたらない様にします。
じゃないとすぐ穴が開いたり、溶けたゴムが磨きの邪魔をしてくるからです。
▲ちなみに、大変申し上げにくいのですがジュエリーってキラキラして綺麗!キレイ!
ってイメージが強い場合、結構こんな事になる日々なので、、、ご了承ください。笑
指サックなどで対策しておくと防ぎやすいです。
ってか、よく黒い手袋してるけど何?
指がどうとか爪伸びてるとか気が散ると思うのでやっているだけです、あとカッコつけです。笑
普段は黒い手袋はしません、ジャマですもんね。
内径作業時の熱除け等
▲こういうのもプラチナなどハードに内径を攻める時に便利です。
細工の段階でも、内径をハードにサンドペーパーかける時など。
▲持ち手の部分が邪魔だったりするので、こんなのも便利の図
5ミリ厚くらいの革で、幅8ミリくらい(適宜)・長さは適当
のを輪ゴムでくくって使うのも便利です。
仕上げの最中に刻印が薄くなった!
結構仕上がってんのにマジかよ!ってな時に。
完成品に急遽、刻印を追加しなきゃいけなくなった時にもオススメです。
▼松ヤニ・シーリングワックスにビニールをセットして行います。
シーリングワックスやビニール袋について▼
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洗浄
洗浄の手順として
1.品物を引っかける
2.洗浄
3.水洗
となります。
洗浄機
▲僕も使ってますがお手頃でバランスが良いです。
どのメーカーでもよいですが、発振周波数が28kHzのやつを買えば大丈夫です。
一番良いのは大容量の層と発信装置が別のやつですね、
うーむ、大きいのが欲しい所!
容量が小さいとしょっちゅう洗浄液を変えることになっちゃいます。
洗浄液 原液
▲これが使っていて腑に落ちる感じのやつ。
水に洗浄液を薄めて使っていきます。
作業性を考えると温めて使っていくのは必須です。(先輩は手が入れてらんないぐらいアツアツでやってます。笑)
ただ中規模の会社以上になってくると水道局の検査が入ると思います。
これはキレート剤といって、ほんのわずか金属が溶けむ要素があるので引っかかるかもしれません。
個人規模なら問題ないと思います。
▲こちらはキレート剤無しなんですが、何となく金色のやつの方がしっくりくるので使っています。
引っかけ
▲このような引っかけに品物を引っかけて洗浄していきます。
▲品物との接点で傷付かないようにコーティングしたいなってときは、このようなゴムチューブを通してササッと火であぶると、ぴったりコーティングされるので便利です。
漬け込んでコーティングするタイプもありますが、こちらがお手軽かなって思います。
洗浄の際
▲引っかけと品物の接点の所で傷がついてしまうので、やさーしく動かして洗浄していきます。
上下と回転しながら洗浄機をかけていくと、対流によって入りにくい所まで洗浄が行き届きます。
結果的に置きっぱなしより早く洗浄することができます。
洗浄機後に流水で洗う際
水を貯める桶などを置いておいて、流水と貯めた水の境界辺りで洗うと一番早く落ちます。
この時も緩やかに動かすと良いです。
そのあと流水で流して完了です。
先程の洗浄液はアルカリ性なのですが、体感としては弱いアルカリ性って感じです。
アルカリ性の液体はヌルヌルして曲者なので良く洗浄します。
イメージしてみたんですが、シンプルな甲丸のリングだったら10~15秒くらいですね。
色石物を取り扱う場合
とにかく温度変化で石は割れます!
洗浄液が温めてあったら、同じくらいの温度のお湯で洗浄していきます。
この時、冷たい水道で洗っちゃって温度変化で割れたりします、注意です。
だから、なんやかんやお湯を使うんですよねーこの仕事。
ピアスが引っかからない!
▲ピアスって引っかけるところがなくて洗浄しにくくないでしょうか?っていう訳でこんなの。
僕が使ってるのは0.2mm厚くらいなんで、ほんとはプレスで作った方が良いんですが、キャストできるようにデータを置いておきます。
クリエイターTのショップ▶ https://creatort.booth.pm/items/3275152
バネリを利用してピアスをキャッチするイメージです。
ピアス針のへこみ辺りが傷ついてもかなり目立ちにくいです。
キャストできないと困るので0.75mm厚になってますが、薄くしたい場合はデータの段階や地金で薄くしてみてください。
ってか後から気づいたんですが、
適当な板を薄く延ばして切って作れば一瞬でできますね。笑
シルバー製品を洗浄する場合
シルバー製品は洗浄機にかければかけるほど、細かい傷がついていきます。
超音波にやられちゃう。
なのでスチームクリーナーでの洗浄がベストとなります。
けど、なかなか買うのも難しい場合が多いと思うので、
対策として
●最終まで仕上げて、バフ粉をしっかり洗浄しておとす(傷がつく)
●バフ粉が付かないようにさっと傷取り→ほんとに数秒、粉を落とすイメージでサッと洗浄する
でいけます。
ちなみにスチームクリーナーはこんなの▼
▲こちらは水道水も使えるのでおすすめです。
主な仕様
商品名 スチームクリーナー MRS-1 蒸気最高圧力 0.5Mpa 使用する水 水道水(軟水) 定格電圧 / 消費電力 単相100V / 1.5kW ブレーカ容量 30A 本体重量 11.5kg 本体寸法 W265×D270×H450mm 付属品 フレキシブルホース80cm、フットスイッチ、ポリタンク、イオン交換樹脂 他 オプション イオン交換樹脂、単相200V仕様、圧力計設置、外部給水タンク、フレキシブルホース1.5m 出展:https://www.alfamirage.com/product/industry/MRS-1/
ってか、ケルヒャーのスチームクリーナーを固定したり、うまいこと工夫すればいける気がしてきました。笑
スチーム系はヤケドに注意ですね。
メレ石とかが洗浄中に落ちた!
手で取ろうとすると逃げまくって取れないので石鹸を使います。
水流が起きるとすぐ逃げるので、さい箸とか長いものに石鹸を刺して
そーっと底を探ると石鹸に石がついてます。
便利です!
検品
強度やフォルムについては造形段階・細工段階なので仕上げ後の検品についてですね。
チェック項目として
●面の綺麗さ・ス・変なとこないか目視
●×10くらいのルーペで適宜スを確認
●バフ粉が残ってないか
●石が留まっているものは石が動いてないか
●引き輪などの金具は、洗浄のタイミングでオイルが抜けることがあるので動作チェック
●ペンダントトップにチェーンを通してみて滑らかに動くか
●引っかかる所がないか・肌にあたるところ痛くないか
などがざっくりチェック項目です。
石動き
爪楊枝で天地左右をつっついてみて動くかのチェックです(天地だけでもオーケーです)。
テーブル面や奥のキューレットを見てるとわかりやすいと思います。
上部のファセットの部分を回すようにして動くかなーってやる場合もあります。
爪で止まってる爪留めも同じです。
ガードルの部分が出ているので回るかが確認しやすいですね。
修理段階だったら、さっきのロータリーバーを直接本体に当てるとすぐに動いてるかわかります。
仕上げ後だったら鈍くはなりますが、手で品物持って親指の爪にロータリーバーを当てると何となくわかる時があります。
なんか専門の機械があったような気がしますが高いですしね!
石の各所の名前についてはこちら▼
T こんにちは! ジュエリー職人のT(@Creator_Tweet)です。プロフィールはこちら まずジュエリー作りで現物の中石(中心となる石)がある場合は、石枠から作り始めるなど中石中心ですすめていきます。 CADで進めていく際に実際[…]
▲石が動いていていたら、こういったナナコで爪を押さえてあげます。
リフォーム品などの絶対に石を割れない状況、クラックが入りまくったエメラルドなど攻めすぎるとダメな場合があります。
そういった場合には接着を適宜、併用すると有効です。
●エポキシ系接着剤タイプ
●紫外線硬化タイプ
●釣り具用瞬間接着剤
がオススメです。
・エポキシ系接着剤はこんなの▼
こんにちは! ジュエリー職人のクリエイターT(@Creator_Tweet)です。プロフィールはこちら ハンドメイドアクセサリー・ジュエリー製作で使う接着剤について 「パールを接着したい」「接着剤の種類がたくさんあってどれを[…]
・紫外線硬化樹脂はあんま使ってないのですが、ハイブランドでも使われてます。
2023.9.26追記 紫外線硬化樹脂がめちゃめちゃ便利です
色々試してみて
シーフォースさんのUVボンド400がメイン、シォースさんの紫外線硬化ライト
がおすすめです。
・上州屋のレジのとこによく売ってるんですが、釣り具用の接着剤です。
接着剤で釣り糸が白くなると魚にバレるので、白くなりにくくなっているので便利です。
2023.9.26追記 上州屋の安い接着剤なくなっちゃいましたね。泣
業者さんが辞めたみたいです、白くなりにくい瞬間接着剤で代替しています!
我々は通称アロン留めと呼んでいます。笑
はみ出たりしたら、ラッカーシンナー等で吹き上げると綺麗になります▼
こんにちは! ジュエリー職人のクリエイターT(@Creator_Tweet)です。プロフィールはこちら 今回はラッカーシンナーやベンジンについて。 「アクセサリー作りで何に使うの?」「有毒性と実際に使い続けてどうなの?」 といった方[…]
金具のオイル
シリコーンオイルは体に毒性がないのでおすすめです。
あと、物は違いますが100均のミシンオイルでも大丈夫じゃないかなって思います。
爪楊枝で可動部に塗ったあと、何回も動かして馴染ませると動きが良くなります。
チェーンの動き
▲丸っぽいチェーンはなめらかに動きやすいのですが、キヘイタイプなど平らっぽくて幅があるのはなめらかに動かなかったりします。
バチカン(チェーンを通すところ)がチェーンの幅分あれば解消されます。
平らっぽいチェーンで縦向きは通るけど横向きは入らないって状態だと、滑らかに動きにくい場合が多いです。
そういった場合、ヘラで拡張するか、丸ヤットコで潰して地金を伸ばすか、バチカンの作り直しとなります。
マスキング
▲昔からある定番のやつ。
マスキングをするシーンは多いので、いつか必要になるタイミングがあると思います。
マスキングをして切っていく上でメスが便利です、参考までにオススメはこちら▼
出展:feather T こんにちは! ジュエリー職人のT(@Creator_Tweet)です!プロフィールはこちら 通常の文房具のカッターも使いますがジュエリー・アクセサリー作りにおいて、いろいろなタイプのメス(ナイフ)を使い[…]
▲通販で出回ってないんですが、最近シーフォースさんの店舗で見つけたマスキングテープです。
これも便利です!
とにかくテープ系ってねちょねちょが厄介なのです。
ねちょねちょしないし、仕様か何なのかわかりませんが、両サイドの粘着が無いようになっています。
実に便利です。
シーフォース
https://www.seaforce.co.jp/
完全、業者向けの工程
キャスト上がり後は電解研磨→バレル→細工→仕上げって流れがベストではあります。
電解研磨をやってくれる業者さんがいなくなってますね。泣
会社でやってたのですが、マジ劇薬なので僕は個人的に扱わないことにしました。
だって危なすぎですもん。
ピンクゴールドの寄せものとか一皮むくと綺麗に上がるんですけどねー。
今はそういった場合、奥まったところは磨けないのでピンクゴールドメッキしてます。
なんで上記の流れは参考までに、バレルをかけておくとやっぱし後工程が楽ですね!
さいごに
偉そうにつらつらと書いていきましたが、いかがだったでしょうか?
まず、この長いのを最後までありがとうございます!
仕上げに必要な才能って何かと考えた時、忍耐力が必要だなって思いました。
ここまで見てくれた時点で、まず忍耐力があるのでは⁉と思います。笑
なので、初心者の方でイマイチ仕上げの自信がないなーってあなたも才能があるので、自信をもってください!
だから長くしました🐒
きっと僕が言わなくても出来ていたと思います、けどショートカットだったり時間の節約になったらなって思って書いてみました。
それではご参考になったら嬉しいです!